こんにちは、箕面市ファミフル訪問看護ステーション理学療法士の山下です。

「生活不活発病」は、アメリカのリハビリテーション専門医であるハーシュバーグ博士が、はじめ『disuse syndrome』と名付けたものの日本語訳です。医療現場では廃用症候群と訳され使用されることが多かったのですが、現在は「生活不活発病」が使われることが多くなっております。

生活不活発病とは

 人間の身体的・精神的機能は使わなければどんどん衰えていくことが知られています。そしてその衰えは我々の想像をはるかに超えたスピードで起こります。例えば健康な人であっても、ベッド上で安静臥床を続けていると、下肢の筋力は1週目で20%、2週目で40%、3週目で60%も低下するといわれています。もちろん機能低下は筋力だけの問題では済まされません。体を起こそうとするとめまいがして座ることができなくなってしまいますし、安静臥床によるさまざまな悪影響が起こってきます。このように使わないことによって様々な身体的・精神的機能低下が生じますが、それら一連の症状を『生活不活発病(廃用症候群)』といいます。

生活不活発病の症状

 使わないことによる機能の衰えは、筋肉・骨・関節・皮膚・心臓・呼吸器・消化器・尿路等身体の多くの部位に生じます。筋肉では筋萎縮や筋力低下を、関節では関節拘縮を、皮膚では褥瘡等を来たすとともに、意欲低下や認知症等精神機能の低下も現れます。このように生活不活発病の症状は実に様々で、身体的にも精神的にも起こってきます。そしてこれらの症状が単独で存在することはまれで、ほとんどの場合いくつかの症状が同時に存在し、しかもそれらが相互に影響しあってると考えられます。

生活不活発病の悪循環

 何らかの原因によって生活不活発病(廃用性症候群)が起こります。その不活発による下肢の筋力低下により歩行が困難になると、生活はさらに不活発になります。不活発になれば生活不活発病は増悪し、筋力低下は進行、歩行能力は更に低下します。そのころには最初は目立っていなかった他の身体的機能の低下も顕著になり、意欲低下等の精神的機能の低下も現れてきます。そのため生活はますます不活発となり、悪循環に陥り、最終的に寝たきり状態になってしまいます。

生活不活発病の予防と治療

 1日の安静によって生じた機能低下を回復させるためには数日から1週間かかり、1週間の安静により生じた機能低下を回復するには1ヶ月以上かかるといわれます。特に高齢者では廃用症候群を起こしやすく、また一旦起こしてしまうと若年層に比べて回復には時間がかかり、元の状態へ回復することは極めて困難になります。従って生活不活発病は予防することが何より重要であり、万一発生した場合にはできるだけ早くそれに気付いて生活不活発病の悪循環を断ち切ることが重要です。予防のためには日常生活での活動性を向上させることが大切です。日中体を横にすることなく、自分でできることは自分で行い、介護を要する場合でも過剰な介護を避け、家事や趣味等の活動や社会活動等もできることは積極的に行い、生活全般の活発化、社会活動範囲の拡大を図ることが必要です。